子どもの頃、父が酔って帰ってくると、夜の23時ごろに某宅配ピザの「テリヤキチキンピザ」を宅配で頼んでくれました。普段は食べられない贅沢な味、そして特別な時間帯に届くピザは、子どもながらにとても印象深く、今でも鮮明に記憶に残っています。
時代は変わり、今ではピザはコンビニやスーパーでも手軽に買えるようになりました。価格も手頃で、宅配ピザを頼む機会はほとんどなくなりました。でも、私はあの思い出のピザを、自分の子どもたちと一緒に食べてみたかったのです。
我が家は宅配の配達圏外のため、あのバイクの音、玄関までの足音、インターホンの音、そして現金を手渡すあの風景は再現できませんでした。
それでも、いつもとは違う特別なピザ、変わらぬ味を家族で囲み、子どもたちが「美味しい!」と笑顔で言ってくれたその瞬間は、何にも代えがたい幸せな時間でした。
子どもたちの記憶にどう残るかはわかりません。でも、私にとっては大切な思い出を共有できた、かけがえのない経験となりました。